大森理論

OOMORI−Theory

有振動【PECULIAR-VIBRATION】


 ハイグリップタイヤが最もグリップする為のバネ上の固有振動数(車重に対するバネ定数の大きさ)及び、バネに対する減衰力は普通乗用車に対して異常に高いので、結果としてぎこちなく(若干ハネ気味に)なるのです。
 ちなみにこれらの数字を”GT−Rレース仕様車の技術開発”という本から引用すると

  バネ上固有振動数
  乗用車:1〜1.5Hz
  GrA GT−R:3〜4Hz

  減衰比(臨界減衰係数に対する減衰係数の比)
    ※バネが縮んだ状態から中立の位置に
      戻ったときにちょうど止まるとき減衰比は

  乗用車:0.1〜0.2
  GrA GT−R:1.2〜1.4

 すなわち乗用車はギャップを乗り越えると、ボヨンボヨンと揺り返しが来るんだけど、レーシングカはボヨンとなるだけで揺り返しは一切ないわけ。
 でもって本題なんだけど、現在のSタイヤは筑波最速ラップなんかをみても分かるように一昔前のスリックタイヤ並みのグリップ力を持ってるので、当然それに見合ったサスペンションのセッティングを行うと、どうしてもぎこちない動きになるのは止むを得ないわけです。

 これまた雑誌等で良く書いてある”しなやかな足”というのは、固有振動数が低いわけでも減衰比が低いわけでもなく、上述の値を満足させつつピストンスピードに対する減衰力を変えたり、縮み側と伸び側のバランスを変えているのです。

以上
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